成瀬映画に登場する風景

『女の中にいる他人』(1966年) ⑤ NEW 2017.5.21


田代(小林桂樹)一家が暮しているのは鎌倉という設定だが、
映画の中では家の付近の実景は2ショットくらいしか出てこない。
住宅街の短い映像なので場所の特定は難しい。

と思っていたら、本作の「予告編」に出てくる鎌倉の実景から場所が特定できた。
「予告編」は2005年の日本映画専門チャンネルでの生誕100年特集で放送されたのを録画した。
本作の助監督の石田勝心監督から生前、ロケ地を書いたメモをいただき、
そこに鎌倉・浄光明寺と書いてあったので、
そのメモ情報と予告編映像を合わせるとほぼ間違いない。

ただし、予告編に出てくる映像は、映画本編では使用されていない。
一家で「横浜ドリームランド」に行くシーン。
映画本編では、
・日傘を差している田代の妻・雅子(新珠三千代)の笑顔
→・庭で風船を持った子供たちが、祖母・栄子(長岡輝子)にドリームランドの話をするショット
となっている。
小林桂樹と新珠三千代の服装も一緒なので、家族四人が帰宅途中の映像は、
実際に撮影して予告編のみに使用され、本編ではカットされたのだろう。
予告編は、市販+レンタルされている『女の中にいる他人』の特典映像として
入っていたように記憶しているが・・・

場所はJR横須賀線の北鎌倉と鎌倉の間、浄光明寺へ曲がる小道(鎌倉市扇が谷)。
正面の横須賀線と後ろの山、右横の側溝、形は若干変わったが右の民家の垣、
そしてロケ地検証で案外重要な「電信柱」の位置などから、この場所でのロケーション
で間違いないだろう。もちろん田代家の住居や庭は東宝撮影場のセットだと思われる。
上の写真はちょうど正面を横須賀線が走っているところ。右側が北鎌倉駅方面。
ちなみに浄光明寺(写真の手前側を進む)はNHK「ブラタモリ」鎌倉の時に登場したお寺。
また、映画関連の展示や映画上映、イベントなどを行っている「鎌倉市川喜多映画記念館」
は、ここから少し鎌倉方面に戻ったところにある。徒歩で10分くらい。

それにしても成瀬監督はさすがに渋いロケ場所を見つけるものである。


      

   

    


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